7度目の転職を検討したときに読んだ本が秀逸すぎた件
母子家庭のくせに35歳にもなって、7度目の転職なんて甘えたこといってんじゃないよ!
そんな怒号が自分の脳内で響いているさなか、出会うべくして出会った本がこちらです。
科学的な適職 4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方 鈴木 祐 著
どのあたりが秀逸かと言いますと、エビデンス(科学的論拠)に基づいて「幸福度と満足度を高める自分にぴったりの仕事」を選ぶ具体的な手順を示している点です。
ふわ~っとした自己啓発本とは違い、ペンを握りしめて早速チェックをし始めてしまうような、機動力があおられる一冊となっています。学生さん、子を持つ親ごさんたち、転職を検討中の方、すべての方にとって良書となること間違いなしです。
それでは女性目線強めで読み進めて参りましょう。
仕事の幸福度を決める7つの徳目
著者は一貫して、直感や適性を仕事選びの軸とすることを否定しています。では何を基準にするべきか。
エビデンスを元に導き出した「仕事の幸福度を決める7つの徳目」がこちらです。
自由 ~仕事の内容や働き方に裁量権はありますか~
数ある研究の中でも「自由」ほど仕事の幸せを左右する要素はありません。
女性の場合は、特に仕事の場所とタイミングの自由が効くほど幸福度が上がるそうです。つまり、在宅勤務、リモートワーク、フレックス制を採用している職場の方が幸せに働ける確率が高まるようです。
育児や介護を担うことが多い女性のライフスタイルを考えると、「自由度の高さ」は納得のいく要素ですね。
達成 ~前に進んでいる感覚がありますか~
- 小さな達成感が得られる
- フィードバックがタイムリーに得られる
- 仕事が進んでいる感覚がある
これらがモチベーションを高める要因だということです。
専業主婦の不満を考えるとわかりやすいかもしれません。
- 家事をしていても誰からも褒められない
- 頑張って掃除をしてもすぐ汚される
- 子供の成長はすぐにはわからない
達成感という視点では、主婦業は幸福度が得にくいのかもしれませんね。
タイプ ~自分の型(攻撃型・防御型)に合っていますか~
生まれ持っての気性も、仕事選びの要因となるようです。あなたはどちらのタイプでしょうか?
攻撃型
利益重視、競争に勝ちたい、大きな野望がある、仕事を効率的に進めたい、ポジティブで準備よりも行動
■進歩や成長を実感しやすい仕事を選ぶ
コンサルタント、アーティスト、テクノロジー系、ソーシャルメディア、コピーライターなど
攻撃型はフリーランスや独立起業が向いているようですね。女性なら美容院で働くスタイリストさんなどが当てはまるのではないでしょうか。ちなみに、管理人・柴子はこちらのタイプですね^^
防御型
責任感、義務感、安全、失敗を恐れるため仕事ぶりは正確で注意深い、着実、堅実、分析や問題解決能力が高い
■安心感と安定感を実感しやすい仕事を選ぶ
事務員、技術者、経理、データアナリスト、弁護士など
職場でチームリーダーなどが務まるタイプですね。冷静沈着な頼りになる女子がイメージできます。
明確さ ~目標や評価が明確ですか~
上からの指示が一貫しない、ビジョンが見えない、評価基準があやふや。確かにこんな職場はストレスが溜まりそうですね。
暗闇で走ることが危険なように、先の見えない将来は不安です。「やることがバシッと決まった見通しのある仕事」を選べという指標のようです。
ふわっとした旦那さんの家計の将来ビジョンに不安を感じる奥さんのメンタルの正体は「明確さが足りないから」かもしれません。
多様性 ~作業内容にバリエーションはありますか~
人間はどのような環境でも慣れてしまうそうです。例えば宝くじで1億円当てたとしても、幸福度は長続きしないなんて驚きのデータがあるのです。
ではどうすれば幸せが長続きするのか?それは「変化を感じること」だそうです。業務内容がバラエティに富んでいる仕事ほど幸福度は高まるのです。飽き性の柴子は、この点も心から同意できます。
「今日こんなことがあったんだ!」って人に話したくなるような、面白ストーリーが毎日湧いてくる仕事って周りまで幸せになりそうですね^^
仲間 ~助けてくれる仲間はいますか~
友人が3人いれば仕事のモチベーションは700%上がるのだそう。これも納得ですね。特に女性はその傾向が強いような気がします。人間関係が仕事を左右すると言っても過言ではありません。
アドラーに至っては、「人間の悩みはすべて他人との関係である」と言い切っているくらいです。そして本書では「人は自分と似た人を好きになりやすい」という事実にも言及しています。類似性効果と呼ばれる心理現象だとか。
そう言えば柴子が今の職場に就職する際も、シングルマザーが職場にいることを知ったとき、「ここでならやっていけるかも…」と心強い気持ちになりました。
自分とよく似た背景を持つ人がいる職場を選ぶことが大事だということですね。
貢献 ~世の中の役に立っていますか~
脳科学的にも、社会に役立つ行為をした直後には、違法ドラッグでも得られるドーパミンと呼ばれるやる気ホルモンが頭の中に放出されるそうです。つまり、社会貢献は快楽なのです。
人の役に立ったという満足感や自尊心、親密感などが幸福度を高める要素になるわけですね。看護師や理学療法士などの医療従事者などは、患者さんから感謝を述べられたりする仕事です。昔から人気が高い理由もここら辺りにありそうですね。
一方で書類整理などの、いったい何の役に立っているのかわからない仕事はモチベーションが下がる一方です。わかります。嫌になります。帰りたいです。
女性目線から言えば、育児もなかなか社会貢献を感じにくい仕事ですね。貢献度がモチベーションを高める点はなんとなく納得がいきます。
幸福度を決める7つの徳目の中に給料の多さが入っていない理由
さて、「年収の高さ」が幸福度を決める要因に入っていませんが、不思議に感じませんでしたか?結論から言うと、給料の多いか少ないかは、幸福や仕事の満足度とはほぼ関係ないことが分かっています。ここ、ポイントです。
「年収400~500万円のあたりから、私たちの幸福度は上昇しづらくなる可能性が高い」とのおおまかな参考値をデータから導いています。確かに、退職を決めたときの柴子の年収は450万円でしたが、生活水準的にはそれなりに満足でしたもんね。
そして、お金から得られる幸福度よりも素敵なパートナーとの結婚や健康の改善によるから得られる喜びの方が幸福度の上昇率が高いそうです。過去に「年収の高さのみ」を条件にして婚活をしていた柴子には、耳の痛い話です。
この本は仕事選びの視点からだけでなく、「人生の幸福」について幅広く見渡せる点でも素晴らしいですね^^
最悪の職場に共通する8つの悪
ネガティブはポジティブより600%強い
いくら自由で達成感のある素晴らしい職場でも、たったひとつのマイナス要因でその職場への思い入れが帳消しになるという恐ろしい事実が紹介されています。
脳科学のデータによると、私たちの頭はネガティブな情報を3~4秒で処理するのに対しポジティブな情報を長期記憶に取り込むには12秒もかかるのだとか。人間の根底はネガティブにあったんですね…。
ということは、その職場のポジティブな側面ばかり見ているだけでは詰めが甘いということです。なるべくネガティブな要素が少ない職場を選ぶことで、幸福度と満足度が高めることが期待できます。
最悪な職場に共通する8悪をさらっと紹介
- ワークライフバランス ~休日夜間の業務や、休暇中の仕事が当たり前~
- 雇用が不安定 ~急な解雇や収入が途絶える~
- 労働時間が長い ~週41時間以上~
- シフトワーク ~3交代、夜勤・日勤がある~
- 仕事の裁量権がない
- 周囲からのサポートがない
- 組織内に不公平が多い
- 通勤時間が長い
確かに、どれもネックになりそうです。ですが、ひとつを取り上げると「まぁそれも仕方ないかな」くらいに思いがちな内容ではないでしょうか?
そこを気を付けるべきだと著者は喚起しています。たったひとつのネガティブ要素が、その他のポジティブ要素を駆逐しかねないからです。
結論:現状の職場ステイという結末
さあ、ここからが面白いんです^^
これら7つの徳目と8つのバッドポイントを自分に当てはめて分析していきます。手順は至って簡単です。
- 自分が重要と思う項目を縦軸にリストアップします
- 悩んでいる職種や会社名を横軸にリストアップします
- 5点満点で評価します。「とても良い」なら5点、「とても悪い」なら0点です。
- 合計点を比較評価します。この結果が、感情を排除した合理的な結論と言えます。
この作業がめちゃくちゃ楽しいんですよ。仕事選びに悩んでいる方はぜひおすすめですね^^ 「マトリクス分析」と呼ばれるものらしいですが、転職以外のライフイベントで悩むときにも活用できるとっておきの手法です。
柴子は結論として現状の職場の方が、転職先よりも僅差で勝ってしまいました。既存の職場の「自由度の高さ」が勝敗を分ける鍵でしたね。退職ではなく「現状の職場ステイ」としましたが、契約社員にしてもらい業務量の調整に成功しました。結果、確かに自分の時間が増え、幸福度はアップしました。
いやはや、この本の何がすごいかって、「選択肢すらみつからない」「何が向いているのかわからない」場合の導き方まで紹介されているんですよ。ぜひお買い求めいただいて損はない一冊だと思います^^
というわけで、おすすめ本の紹介でした。少しでも参考になれば嬉しいです。
今日もここまで読んでいただきありがとうございます★
コメント